phoka

03.

2019. 08. 21

日常という名の幾重にも折り重なった奇跡のもとに、それらは然もありなんと顕れる。
ふと、その存在に気づいた瞬間、長い冬を超えとつぜんに花が咲き乱れるあの春のように世界が色づき、この目は見開かれる。
もっと近くに、この手のひらにと近づいた瞬間、花々は枯れ落ち、見慣れた世界へと引き戻され、残り香だけがあれは本当のことだったのだと教えてくれる。
その香りを小さな瓶にあつめ、花々の咲き誇る度にあつめ。
日々の営みの瞬きの間、首筋にそれを纏わせる。
そうしてだれかの目の前に、生きる。
かぐわしい世界に、死にゆくために。

02.

2019. 08. 07

01.

2019. 07. 25

2009年7月25日。
この日、生まれてはじめてライブをした。
私は屋久島にいた。
滝の落ちてすぐに海へとつながる場所。
皆既日食を見に人々が集まり、まるでひとつの村のようなものができていた。
その日はお祝いだった。
大きな焚き火を70人くらいで囲んで、おなじご飯を食べて。
みんながそれぞれに音楽を奏でて、歌って、踊って、うっとりして。
順番が巡ってきて、わたしはみっつの唄を歌った。
覚えたてのウクレレで、覚えたての唄を。
ライブというより発表会のようなものだった。
さいごのひとつを歌った時、そこにいたみんなが様々な楽器で一緒に奏でてくれた。
きっとその時、私の心は溢れてしまったのだと思う。
「もっと歌いたい!」
その想いだけでハタチの私は駆け出した。

2019年7月25日。
今日はどうしても海で過ごしたかった。
今年はじめての海はまだ少し冷たく、私はあたたかい海流を探して泳いだ。
波に浮かんで見る空は、もう真夏の顔をしている。
耳には砂が、はずかしげにしゃらしゃらと鳴った。
ひとしきりあそび、太陽が海に沈む頃、あの時のあの歌を歌った。
近くにひとりのサーファーがいて、聞こえてしまうかな、と少し恥ずかしかったけれど、心を込めて歌った。
波が、空が、色が、まるで耳を傾けてくれているような気がして、私は嬉しくなった。
ふと気づくと、この喜びが続く限りずっと歌っていたいという気持ちが、いつからかこちらを覗いていた。
私はそおっと手を差し出し、その気持ちとちいさく握手をした。

この10年間、応援し支え続けてくれた、家族・仲間たち・ファンのみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございます。
やめるときまで、歌っていたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

10年前の私へ。
ひらめきにしたがってくれて、ありがとう。

この道はまだ、続きそう。

p.