phoka

03.

2019. 08. 21

日常という名の幾重にも折り重なった奇跡のもとに、それらは然もありなんと顕れる。
ふと、その存在に気づいた瞬間、長い冬を超えとつぜんに花が咲き乱れるあの春のように世界が色づき、この目は見開かれる。
もっと近くに、この手のひらにと近づいた瞬間、花々は枯れ落ち、見慣れた世界へと引き戻され、残り香だけがあれは本当のことだったのだと教えてくれる。
その香りを小さな瓶にあつめ、花々の咲き誇る度にあつめ。
日々の営みの瞬きのはざま、首筋にそれを纏わせる。
そうしてだれかの目の前に、生きる。
かぐわしい世界に、死にゆくために。