綴
01.
2019. 07. 25
2009年7月25日。
この日、生まれてはじめてライブをした。
私は屋久島にいた。
滝の落ちてすぐに海へとつながる場所。
皆既日食を見に人々が集まり、まるでひとつの村のようなものができていた。
その日はお祝いだった。
大きな焚き火を70人くらいで囲んで、おなじご飯を食べて。
みんながそれぞれに音楽を奏でて、歌って、踊って、うっとりして。
順番が巡ってきて、わたしはみっつの唄を歌った。
覚えたてのウクレレで、覚えたての唄を。
ライブというより発表会のようなものだった。
さいごのひとつを歌った時、そこにいたみんなが様々な楽器で一緒に奏でてくれた。
きっとその時、私の心は溢れてしまったのだと思う。
「もっと歌いたい!」
その想いだけでハタチの私は駆け出した。
2019年7月25日。
今日はどうしても海で過ごしたかった。
今年はじめての海はまだ少し冷たく、私はあたたかい海流を探して泳いだ。
波に浮かんで見る空は、もう真夏の顔をしている。
耳には砂が、はずかしげにしゃらしゃらと鳴った。
ひとしきりあそび、太陽が海に沈む頃、あの時のあの歌を歌った。
近くにひとりのサーファーがいて、聞こえてしまうかな、と少し恥ずかしかったけれど、心を込めて歌った。
波が、空が、色が、まるで耳を傾けてくれているような気がして、私は嬉しくなった。
ふと気づくと、この喜びが続く限りずっと歌っていたいという気持ちが、いつからかこちらを覗いていた。
私はそおっと手を差し出し、その気持ちとちいさく握手をした。
この10年間、応援し支え続けてくれた、家族・仲間たち・ファンのみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございます。
やめるときまで、歌っていたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
10年前の私へ。
ひらめきにしたがってくれて、ありがとう。
この道はまだ、続きそう。
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